今回は、勝ち抜きオールスター第９戦の観戦記をお送りします。
先手：suimoku 三段(パ・チーム５番手)
後手：あんぱん 三段(セ・チーム５番手)
初手から以下
▲２六歩 △３四歩 ▲２五歩△３三角
▲４八銀 △９四歩 ▲９六歩△４二飛
▲５八金右△６二玉 ▲６八玉△７二玉
▲７八玉 △８二玉 ▲６八銀△７二銀
▲７六歩 △５二金左▲７七銀△２二飛
▲５六歩 △４二銀 ▲７九角
後手のあんぱん三段は、前局で長手数の熱戦を制しました。
【観戦記】勝ち抜きオールスター第８戦
本局も得意の四間飛車を採用し、連勝を狙います。
対する先手のsuimoku三段はしばらく角道を開けずに駆け引きに出ます。
結局は▲７六歩と突いたのですが、▲７七銀～▲７九角とクラシカルな引き角に構えました。
上図以下
△４四歩▲５七銀 △４三銀▲４六銀
△５四歩▲３六歩 △４二角▲６六銀
△６四歩▲５五歩 △６三金▲３五歩
角交換型を得意とするあんぱん三段ですが、相手の陣形をみてノーマル四間飛車へシフト。
先手は２枚銀を繰り出していき、積極的な指しまわし。
屋敷伸之先生が以前指されていた構想ですが、その後はほとんど見かけないのでsuimoku三段の趣向といえますね。
上図以下
△３二飛▲５四歩 △同 金▲５五銀左
△５三金▲５四歩 △同 金▲同 銀
△同 銀
△５四同金では部分的には△同銀が形なのですが、それでは右辺から攻め込まれた際に困ってしまいます。
２度目の△５四同金で金銀交換になってしまいますが、後手は先に歩をもらっているためつりあいがとれています。
上図以下
▲３四歩 △同 飛 ▲３五銀△３二飛
▲２四歩 △同 歩 ▲２三歩△６五歩
▲２二歩成 △同 飛 ▲２四銀△６四角
▲４六歩
▲３四歩では▲８八角と角のラインを変えるのも有力なところ。
本譜はあくまで引き角にこだわった指し方ですが、△６五歩～△６四角が気持ちのいい活用で、▲４六歩と受けさせれば後手好調でしょう。
上図以下
△４五歩 ▲２三銀成△５二飛 ▲３八飛
△４六歩 ▲５三歩 △同 飛 ▲３二飛成
△４七歩成 ▲同 金 △１九角成 ▲３五角
△６四馬
△４五歩では△６六歩からいきなり玉のコビンを攻めていくのも有力でした。
▲５三歩と打たれた局面はどちらで取るか考えたくなるところ。
△５三同角と取って飛車成りは拒否し、▲４六角と指してきたなら△４九銀で切り返すのも十分考えられました。
本譜でも後手がいいですが、▲３五角で先手も雰囲気が出た攻めになってきました。
上図以下
▲４四金△５二飛 ▲２一龍△６六歩
▲同 歩△５五馬 ▲５三金△４五馬
▲５六歩△３五馬 ▲５二金△同 金
▲３二飛△５三馬 ▲６四桂
△５二飛では私は△６三飛と美濃囲いを崩さずに指したいのですが、本譜は形にとらわれないあんぱん流といったところでしょうか。
激しい駒の取り合いへ発展し、先手は飛桂、後手は角金で少し後手が駒得。
しかし、▲６四桂もなかなかの手で、先手は必死の食いつきをみせます。
上図以下
△４二歩 ▲７二桂成△同 玉 ▲６一銀
△８二玉 ▲３三飛成△６二金打 ▲５二銀成
△同 馬 ▲１一龍 △６五歩 ▲８六香
△７一桂 ▲３一龍上△６一香 ▲５一金
△４二歩は飛車切りを消して手堅い手ですが、△６一銀と本譜の攻め筋をなくすのも有力でした。
▲３三飛成では▲３一飛成ならどうだったか。
△５一歩の底歩には、▲５二銀成～▲５一竜が実戦的な攻めになります。
△７一桂は▲３一龍上ともぐられることを考えれば６一に打って竜のラインを止めることを優先すべきだったかもしれません。
▲５一金でひと目の受けがなく‥
上図から△３四馬が敗着。
時間に追われて指してしまった手で、▲３四同竜とされては逆転。
以下は時計のたたきあいになりましたが、先手がきっちり詰みまで指し切りました。
あんぱん三段としては内容がよかっただけに悔やまれる一局。
suimoku三段としては細い攻めをつなげていってプレッシャーをかけ続けた執念の勝利といえるでしょう。
上図以下
△３四馬 ▲同 龍 △６六歩 ▲６八歩
△４三角 ▲３一龍上△７二銀 ▲４二龍
△５三銀 ▲４一龍上△４二歩 ▲３三成銀
△２五角 ▲３六歩 △３五歩 ▲４二成銀
△同 銀 ▲同 龍 △５三銀 ▲２二龍寄
△３六角 ▲同 金 △同 歩 ▲６一金
△同 金 ▲同 龍 △６二金 ▲３一龍寄
△５二歩 ▲８五香打△６一金打 ▲５一銀
△同 金 ▲同 龍 △６一銀打 ▲８三香成
△同 桂 ▲同香成 △同 玉 ▲７五桂
△８二玉 ▲８三金 △同 銀 ▲同桂成
△同 玉 ▲８五銀 △８四香 ▲同 銀
△同 玉 ▲７五角 △８三玉 ▲８六香
△７二玉 ▲８三角 △６三玉 ▲６一角成
△７四玉 ▲６二馬 △同 銀 ▲同 龍
△６七歩成 ▲同歩 △８八金 ▲同 玉
△４四角 ▲６六銀 △６二角 ▲６四金
まで169手にて先手勝ち
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