今回は、勝ち抜きオールスター第14戦をお送りします。
大会もいよいよ大詰め。高段者同士の戦いが始まります。
先手:asagao 五段(セ・チーム8番手)
後手:まさあき迷人 四段(パ・チーム7番手)
初手から以下
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角
▲7六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛
▲5八金右 △3二銀 ▲5六歩 △6二玉
▲6八玉 △7二銀 ▲9六歩 △9四歩
▲5七銀 △7一玉 ▲7八銀 △8二玉
▲7九玉 △5二金左 ▲8六歩
戦型は後手のまさあき四段が四間飛車を採用。前局に続く連投です。
対して先手は左美濃へと囲っていきます。少し珍しい指しかたに思います。
そして、後手も無難には応じず…
上図以下
△4五歩 ▲8七銀 △6四歩 ▲1六歩
△1四歩 ▲7八金 △7四歩 ▲3三角成
△同 銀 ▲6六歩 △6三金 ▲8八玉
△8四歩 ▲3六歩 △7三桂 ▲7七桂
△8三銀 ▲3七桂 △7二金 ▲4八金
△5四歩 ▲2九飛 △6二金寄
△4五歩から角交換に臨んだのは後手の趣向。
しかし、先手は迷うことなく銀冠へ囲いを発展させていきます。
▲4八金・▲2九飛型は角換わりで頻繁にみられますが、角交換の将棋なら大半はよい構えとなります。
△6二金寄は待機戦術の含みが多い手ですが、asagao五段に用意の仕掛けがありました。
上図以下
▲1五歩 △同 歩▲4五桂 △同 飛
▲3二角 △1二角 ▲1三歩 △同 桂
▲1五香 △4二飛▲1三香成 △3二飛
▲1五歩~▲4五桂が衝撃の仕掛け。
桂馬を犠牲にして▲3二角と打ち込む隙を作りました。
△1二角には▲2四歩とし、△同銀には▲2二歩、△同歩には▲1四角成として次に▲1三歩や▲2二歩をみます。
1筋の突き捨ては、▲1四角成とした際に△1三歩と打たれないようにしているわけです。
しかし、asagao五段は仕掛けそのものは知っていたもののその後の手順を把握していなかったようで▲1三歩としてしまい勇み足に。
△4二飛で角が詰んでしまっては変調です。
上図以下
▲4五桂 △4四銀 ▲2四歩 △同 歩
▲2三歩 △4五銀 ▲2二歩成 △4二飛
▲1二成香 △5五歩 ▲3三角 △5二飛
▲5五角成 △同 飛 ▲同 歩 △5六歩
▲6八銀
▲4五桂から2筋の攻めを図っていきましたが、後手の指し回しが絶品。
中央で駒がキレイに働いていき、これぞ振り飛車のサバキという手順でリードを広げます。
上図以下
△7五歩 ▲4一飛 △7六歩 ▲4五飛成
△7七歩成▲同 銀 △7六歩 ▲同銀左
△7五歩 ▲8七銀 △7六桂 ▲8九玉
△7五歩が急所の攻めで、asagao五段もこれで困っていると感じていたようです。
▲4一飛と手抜いて打開を図りますが、△7六桂と攻めの拠点を作られては先手厳しい形勢です。
上図以下
△9五歩▲同 歩 △9八歩 ▲同 香
△8五桂打 ▲8八銀打 △7七桂不成 ▲同 銀
△8五桂打▲8八銀 △同桂成 ▲同 玉
△7六銀 ▲8九桂 △8七銀成 ▲同 金
△7六銀▲同 金 △同 歩 ▲7八歩
△6七角 ▲4一龍 △7八角成 ▲同 玉
▲9五同歩では▲4一竜と態度を聞いてみてどうだったか。
駒を打って受けてくれれば、その分攻めが緩和されます。
▲8八銀打では▲7六銀から考えたいところで、▲7五桂と打てるようになれば後手玉が見える形になって逆転も狙える状態へ持ち込めたと思います。
本譜は攻めが筋に入っており受けても受けてもキリがない格好に。
△6七角が詰めろになっており、▲4一竜は形作り。
あとは後手が着地するだけだったのですが…
上図以下
△7七銀▲6七玉 △7八角 ▲5八玉
まで115手で先手の勝ち△7七銀がまさかの失着。
△7七金から簡単な詰みがあっただけに悔やまれる一手となりました。
まさあき四段はどちらでも詰んでいると勘違いしていたようですね。
高段者でもこういうことがあるのですから将棋は怖いです。
本譜は▲6七玉と上がることができて事件発生。
asagao五段の大逆転勝ちとなりました。
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