今回は、勝ち抜きオールスター第11戦の観戦記をお送りします。
先手:JANUS 三段(パ・チーム6番手)
後手:Link0905 三段(セ・チーム6番手)
初手から以下
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4二飛
▲2五歩 △6二玉 ▲4八銀 △7二玉
▲6八玉 △8八角成▲同 銀 △2二銀
▲7八玉 △3三銀 ▲6八金 △8二玉
▲9六歩 △9四歩 ▲7七銀 △7二銀
▲3八金 △4四歩 ▲4六歩
先手となったJANUS三段は、終盤型の居飛車党。
私も別棋戦で対局したことがあります。
【自戦記】桃影戦準決勝副将戦・対JANUS戦
後手のLink三段は軽い攻めを得意とする振り飛車党。
前局でも鋭いサバキが光りました。
【観戦記】勝ち抜きオールスター第10戦
戦型は後手が角交換四間飛車を採用。
実は両者は本局の前日にも別棋戦で対局しており、その時はJANUS三段が勝っています。
Link三段は角道を止める四間飛車を得意としていますが、敗北を受けて戦法を変えてきました。
上図以下
△4五歩 ▲同 歩 △同 飛▲4七銀
△4二飛 ▲4六歩 △5二金左▲3六歩
△4五歩はやってみたくなる歩突き。
しかし、その後どう指すかは棋風によりそうです。
△4二飛では△3二金が私の第一感で、4一まで飛車が引けるのは地味に大きいです。
本譜▲3六歩は次に▲3七桂、更に▲4五桂と跳ねる手をみせています。
単純な攻めですが適当な受けがみえず、後手は長考に沈みました。
上図以下
△1四歩 ▲1六歩 △4三金 ▲3七桂
△5四金 ▲2九飛 △6四歩 ▲8六銀
ただ囲っているのでは不満とみて、△4三金~△5四金と左金を繰り出していきます。
それでも▲4五桂は有力で、△2二銀なら▲5六歩がうるさい攻めとなります。
本譜はじっくり攻めていく方針ですが、後手から思わぬ攻めが飛んできました。
上図以下
△5五金 ▲4九飛 △6五角 ▲7七桂
△4七角成 ▲同 飛 △4六金 ▲4九飛
△5五金~△6五角が意表を突いた構想で、後手が攻勢をとるのに成功しました。
▲7七桂は△4七角成誘った手ですが、△4六金の突進で押されてしまうのでどうだったか。
代えて▲3一角や▲4五桂と複雑化すれば互角の将棋でした。
上図以下
△4八歩 ▲8九飛 △4七金 ▲2八金
△4九歩成 ▲同 飛 △4八金 ▲8九飛
△4七飛成
上図では△5七金がやってみたい手で、大サバキになれば玉形の差で後手が優位を広げていました。
本譜は△4七金からじっくり攻めていく方針です。
▲2八金では▲4五桂が有力だったようで、△同飛には▲5六角を用意しています。
△3八金が気になるところですが、▲5三桂成△4七飛成▲5六角でいい勝負。
しかし、金をボロッと取らせるのは実戦的にやりにくいところですね。
△4八金でLink三段は「当初△4八銀と打つつもりだったんですが、△5七銀成の瞬間に▲4五歩と飛車先を止められると、結構困っているような気がして飛車成を優先した感じですね」とコメントを残されています。
上図以下
▲5六角 △4六龍 ▲4五桂 △4四銀
▲3七角 △3六龍 ▲4八角 △4五銀
▲3七金 △3五龍 ▲3六歩 △4四龍
▲3八角
▲3七角~▲4八角と金をボロっと取れるのは大きいですが、△4五銀と遊んでいた銀が生きてきては後手はっきり優勢に。
Link三段も「金は犠牲になりましたが、代わりに角2枚を打たせて働きにくくさせたので、そこからは優勢を意識しました」と語られています。
竜取りには冷静に受けておいて、ゆっくり攻めていく方針に変わりはありません。
上図から△3六銀が決め手級の手で、先手は歩切れのため受けが悩ましいです。
以下は堅実な指しまわしで圧倒した後手の完勝。
Link三段が見事リベンジを果たしました。
上図以下
△3六銀 ▲4七金打 △同銀成 ▲同 金
△3五桂 ▲5八銀 △4六歩 ▲3七金
△4七銀 ▲4九銀 △4八銀不成▲同 銀
△4七金 ▲4九銀 △3七金 ▲同 銀
△4七歩成 ▲同 角 △同桂成 ▲3六銀
△4六成桂 ▲4五歩 △4二龍 ▲2七銀
△3五角 ▲5八銀 △3三桂 ▲9五歩
△同 歩 ▲同 銀 △4五桂 ▲9三歩
△5七桂成 ▲9二金 △7一玉 ▲5七銀
△同成桂 ▲8一金 △同 玉 ▲5七金
△4八龍 ▲6八桂 △5七角成 ▲6九飛
△6八馬 ▲同 飛 △8八金 ▲同 玉
△6八龍 ▲9七玉 △8八角 ▲9六玉
△7七角成 ▲9二角 △7一玉 ▲8六金
△8四桂 ▲8五玉 △7四金
まで128手で後手の勝ち
0手