今回は、第11回菅原鉄工所杯新春将棋大会・3回戦の観戦記をお送りします。
1回戦は強敵相手に勝利。
2回戦も快勝し、本局を迎えました。
先手:H谷 五段
後手:つなよし
初手から以下
▲7六歩 △6二銀 ▲7八飛 △3四歩
▲6六歩 △6四歩 ▲6八銀 △6三銀
▲4八玉 △4二玉 ▲3八玉 △3二玉
▲5六歩 △5四銀 ▲6七銀 △6二飛
▲4八銀
戦型は今年初となる対三間飛車。
そして、▲4八銀はAI流。
この形が有力なのは知っていたのですが、実際に指されたのは初めてでした。
上図から以下
△6五歩 ▲5七銀 △6六歩▲同 角
△同 角 ▲同銀右 △6五歩▲5七銀
△3三角 ▲7七角 △同角成▲同 桂
先手陣はかたくしにくい陣形ですので玉をかためていく方針は有力ですが、本局では△6五歩と積極的に仕掛けていきました。
▲6六同角では▲同銀直や▲同銀右も考えられます。
また、△6五歩では単に角打ちや△4二金も有力で、1つ1つ精査していくとなるといくら時間があっても足りなそうです。
▲7七角では▲8八角を本線に読んでおり、本譜は狙いの一手がありました。
上図以下
△8九角 ▲8六角 △4二銀 ▲6四歩
△7八角成 ▲同 銀 △5二金左▲4六銀
△4四歩 ▲5五銀 △同 銀 ▲同 歩
△7二銀
△8九角が狙いの手でしたが、私が好みそうな一手だと読まれていたようでノータイムで▲8六角と切り返されました。
△5二金左は▲6三角の強襲や▲6五桂に備えたもの。
それでも▲6五桂と跳ねてきたなら、 △6六飛で桂取りが受かりません。
しかし、▲4六銀~▲5五銀がサバキの好手順。
△4五銀と応じれば互角の形勢が続いていましたが、対局中は見えておらず銀を取って△7二銀と粘りに出ましたが‥
上図以下
▲8二銀 △6六歩▲5八金右 △9二香
▲9一銀成 △8二飛▲5七金 △8四歩
▲9二成銀 △8三飛▲6五角 △4三銀
▲8三角成 △同 銀▲8一成銀
▲8二銀は「違和感しかない手」と話されていましたが、AIも評価する一手。
後手はなんとか手を作ろうとしたところで▲9二成銀~▲6五角の王手飛車をくらってしまいました。
上図以下
△4五角 ▲9一飛 △7四銀▲6六金
△7二金 ▲9六歩 △6一飛▲7五歩
△8三銀 ▲6七香
△4五角はヤケクソのような手で、▲6三香と指されていたら手も足も出なかったと思います。
本譜は▲9一飛や▲6七香といった丁寧な手で完封勝ちを目指してきました。
上図以下
△3五歩▲4六歩 △3四角 ▲5六桂
△3三桂▲5八金 △4一飛 ▲6五桂
△2五角▲6九銀 △4五歩 ▲同 歩
△同 桂▲4七歩 △4六歩
何もできずに負けていてもおかしくありませんでしたが、玉頭へ転戦して冷や汗をかかせることには成功。
しかし、次の一手が冷静な好手でした。
上図以下
▲6八角 △4七歩成▲同 金 △同角成
▲同 玉 △3四銀 ▲4六歩 △8二金
▲4五歩 △4六歩 ▲同 角 △4五銀
▲4四桂打 △3三玉 ▲8二成銀
▲6八角が受けの好手で、継続の手段が難しいです。
△8二金と強引に飛車を取りにいきましたが、▲4四桂打の切り返しが厳しく敗勢は変わりません。
上図以下
△4六銀 ▲同 玉 △9一飛▲3二金
△3四玉 ▲4五銀 △2四玉▲5二桂成
△4九飛 ▲4七歩 △7九角▲6八角
△4八金 ▲5四歩 △6八角成▲同 銀
△4七金 ▲5五玉 △4六角▲4四玉
まで117手で先手の勝ち
感想戦では単に△9一飛と取ってはどうかと言われましたが、▲9一同飛くらいでダメそう。
本譜も上部に脱出されては勝ち目がなく、玉同士が真横にきたところで投了。
チャンスらしいチャンスがなく、完敗の一局でした。
0手