今回は、変態vs王道棋戦2 第27戦の観戦記をお送ります。
長きにおよんだ大会もいよいよ最終戦。
死闘を制するのははたしてどちらか‥
先手：あわ六段(王道戦法チーム大将)
後手：いか六段(変態戦法チーム大将・指定戦法角頭歩)
初手から以下
▲７六歩 △３四歩 ▲２六歩 △２四歩
▲４八銀 △５四歩 ▲６八玉 △８八角成
▲同 銀 △２二飛 ▲４六歩 △４二銀
上図以下
▲７七角 △３三角 ▲４七銀 △６二玉
▲３六歩 △７七角成 ▲同 桂 △４四歩
▲９六歩 △９四歩 ▲８六歩 △４三銀
▲１六歩 △１四歩 ▲３七桂 △３三桂
▲７八玉 △７二玉 ▲８七銀 △８二玉
▲８八玉 △７二銀 ▲７八金
▲７七角と自陣角を据えるのは１つの筋。
後手の△３三角と合わせたのは妥当なところで、角を温存して戦おうとすると先手に角のラインを生かした攻めを受け切れない公算が高いです。
先手は△７七角成に▲同 桂と取り、手得を生かして銀冠へと発展させました。
上図以下
△２一飛▲２九飛 △５二金左 ▲４八金
△４二金▲５六銀 △５一飛 ▲６六歩
△５五歩
△２一飛▲２九飛とおたがい一段飛車に構えます。
角交換型の将棋では常用の筋で、飛車の横利きでスキのない陣形となります。
▲４八金 △４二金もバランス重視の手で、角換わりの将棋でもよく見かける形です。
上図以下
▲６五銀 △３二金 ▲７五歩 △４二角
▲７六銀引 △５六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲６七銀 △５一飛 ▲５六歩 △７五角
▲４七金 △４二角 ▲６五歩 △３五歩
上図では▲６七銀がまず思いつくところでしたが、▲６五銀が面白い構想でした。
後手に△６四歩等と駒組みを継続する手を牽制しています。
▲７五歩に反応して△４二角と角を打って局面が動き出します。
△５一飛では△４六飛から歩をパクパク食べていくのも有力。
本譜は△３五歩が高段者らしい見えにくい攻め筋でした。
上図以下
▲６六角 △６四歩 ▲７六銀左 △６五歩
▲同 銀 △６四歩 ▲７六銀引 △５四銀
▲３五歩 △６五歩 ▲４八角 △４三金
上図から▲３五同歩と応じるのは後手の注文で、△３六歩～△７五角で角成りが受けにくいです。
そこで、▲６六角と打ったのが△７五角を消して冷静な応手でした。
対して△６四歩と今度は角頭に狙いをつけていきます。
▲７六銀左は銀冠は崩してしまいますが、相手の注文に乗らない力強い一手です。
△６四歩では単に△５四銀とぶつけてみたいところ。
本譜は▲３五歩が入り、△４三金と受けなくてはならないようでは変調でした。
上図以下
▲５九飛 △４五歩 ▲同 歩 △４六歩
▲同 金 △６四角 ▲５七角 △４五桂
▲同 桂 △４四歩
後手は今度は△４五歩から４筋に狙いをつけていきます。
△４五桂と数の足りないところに桂馬を跳ねていきましたが、△４四歩に期待しました。
上図以下
▲３三桂成 △同 金 ▲７五銀 △４二角
▲６四歩 △４五歩▲４七金 △７四歩
▲同 銀 △６四角 ▲９五歩 △７三歩
▲８五銀 △６六桂
▲３三桂成と成り捨てるのがちょっとした手筋で、金を後手玉から離すことができます。
先手が▲９五歩と端攻めを決行したのに対し、△６六桂と先手の角のラインを遮断。
ハイレベルな攻防が続きます。
上図以下
▲８七金 △２八角成 ▲９四歩 △９二歩
▲６六銀 △３八馬 ▲４八金 △５六馬
▲７五銀 △４六歩 ▲７九角 △４五銀
上図では▲６六同銀も有力でしたが、▲８七金と金を上げてかわしました。
本局の先手は駒を前へ前へ進める手が多くみられ、方針の一貫性を感じます。
▲７五銀と先手は桂馬の食い逃げしたのに対し、後手は△４六歩と歩成りに期待しました。
上図以下
▲５二歩 △同 飛 ▲５七歩 △４七歩成
▲５六歩 △４八と ▲５七飛 △５六銀
▲１七飛 △４七銀成 ▲５七歩 △５四飛
▲５二歩と一発歩のタタキを入れてから▲５七歩と受けに回るのが筋で、次に▲６四桂の両取りを狙っています。
△４七歩成は馬を捨てて踏み込みにいった勝負手。
△５四飛といったんは受けにまわって両取りを回避しましたが‥
上図以下
▲６四桂 △５八と ▲７二桂成 △同 金
▲６四桂 △６二金 ▲６三歩 △同 金
▲７二銀 △７一桂 ▲６三銀成
まで131手で先手の勝ち
両取りでなくとも▲６四桂が厳しい攻めでした。
△６三銀とかわしても▲７四歩が継続手段で一手一手となります。
△５八とと手抜きで応じましたが、▲７二桂成～▲６四桂の桂馬のおかわりが激痛。
最後は▲７二銀が決め手となり、先手勝ちとなりました。
評価値としては先手の完勝でしたが、両者技を尽くした一局で参考になる将棋でした。
本局の結果により、変態戦法チーム対王道戦法チームの戦いは、王道戦法チームの勝利に終わりました。
こうして観戦記をすべて書き終えることができて私としても達成感をかんじる大会になりました。
選手のみなさん、お疲れさまでした！
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