【観戦記】勝ち抜きオールスター第10戦

今回は、勝ち抜きオールスター第10戦の観戦記をお送りします。

先手:suimoku三段
後手:Link0905 三段

初手から以下

▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角
▲4八銀 △4四歩 ▲5八金右 △4二飛
▲6八玉 △3二銀 ▲7八玉 △4三銀

▲6八銀 △4五歩 ▲7六歩 △4四銀
▲7七銀 △6二玉 ▲6六銀 △5二金左

▲9六歩 △9四歩 ▲5六歩 △7二玉
▲5七銀上 △8二玉 ▲1六歩 △7二銀

▲4八飛

 戦型は第9戦と同じく居飛車対四間飛車に。
Link0905三段はもともと四間飛車が得意戦法ですが、仲間の意志を引き継いでいるようで熱い展開ですね。
先手が中央に金銀を集めたのに対し、居玉のまま△4四銀型に構えたのは相手に好きにはさせないぞという気合いを感じます。

suimoku三段は愛用の2枚銀作戦を採用。
序盤はかなりハイペースで指しており、▲4八飛までなんと8秒しか使っていません。

上図以下
△5四歩 ▲7七角 △6四歩▲4六歩

△同 歩 ▲5五歩 △同 銀▲同 銀

△同 歩 ▲4六銀 △5六歩

△5四歩は1分強で指された手。
10分切れ負けで一手に序盤でこれだけ投入するのは珍しいと思います。

対して先手はさほど時間を使わずに▲4六歩~▲5五歩と勢いよく仕掛けていきましたが、これが形勢を損ねる要因となりました。
私のような非力な指し手なら△5五同歩で▲4六銀を許したり△6三金とひよってくれるのでしょうが、本譜△5五同銀が好判断。
△5六歩まで進んでから長考に沈むようでは、明らかに変調です。

上図以下
▲3三角成 △同 桂 ▲3一角 △4一飛
▲6四角成 △4七歩 ▲同 飛 △3八角
▲4二歩  △4七角成 ▲同 金 △2八飛

▲5八歩  △5一飛

▲3一角成~▲6四角成は仕方のないところ。
▲2二角成としてしまうと△3九角とお返しの角打ちが△5七歩成をみて絶好となります。

△4七歩~△3八角は筋のいい攻めで好感が持てますが、素朴に△4五歩として▲5五銀には△5七銀と単純に崩していくのも有力でした。

▲4二歩には▲5八歩まで利かしてから△5一飛と手を戻すのが1つの呼吸。
△4二金でもいいのですが、筋のいいLink0905三段としては本譜のほうが肌に合う印象を受けます。

上図以下
▲4一歩成 △同 飛▲3二角 △4二飛
▲2三角成 △6三歩▲5五馬 △2五桂
▲3三馬寄 △2九飛成▲5六馬 △6四桂
▲3四馬上 △7六桂▲5九銀 △4六飛
▲同 金  △4八銀▲5六馬

上図では▲6六角も考えられますが、△2五桂とかわされて取れる駒がないのでは面白くありません。
本譜もやはり△2五桂と逃げておくのが好手。
▲7四桂を打たれてしまいますと美濃囲いの玉がいきなり危険にさらされてしまうところでしたが、自玉をよくみて持たれては困る駒を察知した冷静な一手でした。

▲5六馬では▲4二馬~▲2二飛や▲9五歩で後手玉が少しでも見える状態にしたかったところ。
▲3四馬上でギアを上げていきましたが、△7六桂が次に△6九竜をみて攻めが急所に入っています。

▲5九銀で▲7七銀には△8八銀が寄せの手筋。
▲同銀には△6九竜が復活するという仕組みです。

本譜も飛車切りから△4八銀が受けにくく、後手が着実に勝利へ近づいています。
2度目の▲5六馬に竜を逃げると少し紛れるのでしょうが…

上図以下
△5九銀成 ▲2九馬 △6九成銀▲7七玉
△7五銀  ▲6六歩 △6八桂成▲3四馬
△7六金  ▲8八玉 △7八銀 ▲4七飛
△7九成銀 ▲2一飛 △8九成銀▲9八玉
△6七成桂 ▲同 飛 △同 金 ▲同 馬
△8八飛
まで94手で後手の勝ち

△5九銀成が光速の寄せ。
▲2九馬で先手に大駒をコンプリートされてしまいますが、△7五銀で寄せの網が完成して勝負あった。
以下も先手は生きのびようともがきますが、後手が確実にまとめて押しきりました。

suimoku三段としては残念譜となりますが、Link0905三段の指しまわしが見事だったというよりありません。
振り飛車のお手本のような内容でした。

将棋盤

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